溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
記憶を辿ろうと巡らせても、その部分だけ思い出せない。

なんて言ったんだろう?

もう一度、聞いたら教えてくれるのかな

「慶太、さっき言ったことって、、、私、記憶ないんだけど、、、」

「、、、っは?マジか、、、」

「もう一度言って?」

なんのことなく、当たり前に聞いたけど、当の慶太はガシガシと頭をかいて、力なく項垂れた。

ハァーと盛大な溜め息を部屋中に響かせる。

「ひどいなー。希は本当、、、」

「あ、、、なんか、ごめんなさい。」

「いや、じゃあ、もう一度いうから。今度は記憶ないとかナシだから。」

「う、うん。」

「希のこと好きだよ。ただ一人の男として。だから、これからは俺のこと見て欲しい。」

真っ直ぐな目は、ウソなんかじゃないと思わせるには充分だった。

慶太がそんなふうに思ってたなんて、、、

知らなかった。


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