溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
それから30分程過ぎた頃、いつもと変わらぬ顔つきで東雲さんが帰ってきた

「遅くなりました。」

「お疲れ様です。」

「お疲れ様。東雲、ちょっと」

棚橋さんが手招きして、隣の応接室へと入っていく。

「大丈夫かな?」

九条さんがポツリと告いだ

「見た目はいつも通りでしたけど、、、」

「うん。本心はどうだろう。」

「何があったか話してくれますかね」

「さあー。クライアント相手なら話さないよね。」

「ですね。」

みんなが深刻な目で応接室を見守った。

大ごとじゃなきゃいいけど。



結局、二人が応接室から出てくる前に私は帰宅の時間となった。

だからか、昼休憩に東雲さんと話した時間がものすごく遠い過去に思えた。

"お前が欲しい"

その言葉が、いつまでもループし続けて、その夜は浅い眠りに悩まされることになる。

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