俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
「今日もボランティアに行くのか?」

パンを口に入れながら俺が訊くと、クリスタルは「うん!」と頷く。

クリスタルは最近孤児院に行くことが多い。しかもそこは、俺が育った孤児院だ。

「みんな喜んでくれて、とても嬉しいんだ。それに…リーバスが育ったところなんでしょ?もっと知りたいから」

最後は頰を赤くしながらクリスタルが話す。聞いている俺も少し恥ずかしくなる。

「……そんなかわいいことを言うな」

顔に手を当てて、俺は呟く。もしも今クリスタルに触れたら、感情を抑えることはできないだろう。

「そうだ!今日、俺は仕事が休みだからボランティアが終わったら迎えに行く。今日はどこかで夕食を食べよう」

俺がそう言うと、「本当!?嬉しい!」とクリスタルが笑う。

俺の仕事が休みなので本当は一日中一緒にいたいが、子供たちが喜ぶとなれば仕方がない。親のいない孤児院の子供たちにとっては、ボランティアで来てくれる人に甘えたいのだ。

「そうだ!いいものを見せてやろう」

俺は孤児院と聞いてあるものを思い出し、椅子から立ち上がると整理された引き出しの中から、一枚の古びた写真を取り出した。孤児院を出る時に、仲間と撮った写真だ。
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