俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
恋人と約束する未来は、きっと幸せに満ちている
その日、俺とクリスタル…いや対策本部のメンバーは桜花国に来ていた。理由は、アレックスと小町の結婚式に参加するため。

「あの二人、付き合ってたんだね!知らなかった〜」

クリスタルが結婚式の会場に向かいながら言う。たしかに、あの二人は仲が良かったが、俺から見れば面倒見のいい姉と問題を起こす弟という感じだった。まさか、恋仲だったとは…。

フローレンスは気持ちがわかりやすかったが、小町はそんな素振りを一切見せなかった。だから、二人が結婚すると聞いた時は夢かと思ってしまった。

「アレックスくん、高校はもう卒業してるけど、進路とかどうするんだろうね〜」

イワンがそう言うと、隣で歩くフローレンスが「心配ご無用ですわ!」と口を開く。

「アレックスは桜花国に移住して、小町の家の旅館で働くそうですわ」

フローレンスは、ジュリエットと二人目の娘のメルは親に預けて祝うために来ている。大きかったお腹は、もとの体型に戻っていた。

「たしかに、妊婦さんに働かせるわけにはいけないからネ」

リーも話に混ざる。

小町は妊娠三ヶ月だそうだ。そのため結婚式を早めたらしい。

「小町もお母さんになるのかぁ…」

クリスタルが呟く。そうだ、このメンバーで結婚していないのは俺たちだけとなる。

俺は何も言えず、ただクリスタルの手を握った。
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