トリップしたら国王の軍師に任命されました。

 式が一通り終わると、ふたりは王室礼拝堂の二階に上がる。バルコニーに出ると、わあっと歓声が上がった。

 見下ろすと、礼拝堂を囲むようにして集まった国民がふたりを見上げている。今日は特別に、礼拝堂の庭まで国民が入ることが許された。

「国王陛下バンザイ!」

「王妃さま、お幸せに!」

 大勢の国民が、ふたりを熱烈に祝福している。その姿は明日香の胸を熱くした。

(こんなに、私たちの結婚を祝福してくれる人たちがいるなんて)

 明日香はジェイルと共に、国民に向かって手を振り続ける。

(ありがとう、ありがとう)

 こっちの世界に来るまでは、自分なんて何の価値もないと明日香は思っていた。だけど、今は違う。

(この人たちを守るために、これからも頑張らなきゃ)

 隣に立つ夫の横顔を見上げる。彼はすっかり威厳に満ちた国王の顔をしていた。

(王妃と呼ばれるのはまだ慣れないけど)

 自分を愛してくれる人のために、全力で生きよう。

 そう決意した明日香であった。


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