【短編】美女の裏側
「好きです!付き合ってください!」
学校の屋上に呼び出された俺は驚きのあまり止まってしまう。目の前には学校一かわいい女子といっても間違っていない成瀬春奈がいる。彼女は頬を赤くしてもじもじしている。
嬉しい気持ちもあるが驚きの方が大きい。
俺はどこにでもいる人だ。成績も普通、特に目立たず平和に生きてきた。友達も多すぎず少なすぎずいたって普通の人間だ。どうして成瀬さんが俺を好きになってくれたのか全く分からないし、心当たりがない。
「一緒にお昼ごはん食べよっ!」
今日も変わらずフワフワの髪で話しかけてくれる、本当に謎に感じる。
「あの2人付き合ってるんだって」「え、姫とアイツが?」「うそー!」
こそこそこいろいろな場所から次々と聞こえてくる。それもそうだろう、学校一の美女と名前の知らない人が多い俺。成瀬さんのような人が俺みたいな人の恋人で目立たないわけない。
「うわー、風強いねー。」
なびく長い髪を抑え話しかけてくる。
「じゃあこっち行こっか。」
屋上の入り口の裏側を指差す彼女。入り口のおかげで強かった風は少し緩やかになった。
「そうだ!自分で作ったお菓子持ってきたの!」
クイズが解けたように手を打つ彼女。
「じゃじゃーん!」
効果音を付けて楽しそうに蓋を開ける彼女。
「成瀬さん、ちょっと聞きたいことがあるんだんけど、、、」
「なーにー?」
ニカッと崩れた愛らしい笑顔に気を取られる。
「俺に告白したの罰ゲームだったりする?」
恐る恐る聞いてみる。何度も考えたあげく告白してくれた理由はこれだけだった。
「チッ、バレちゃったか」
さっきまでかわいい成瀬さんから打って変わってヤンキーのような口調に変わり座り方も変え表情筋の使い方もずいぶんと違う人に思える。
「だいたいこの美女が何もないお前のこと好きになるとか、まじありえないから、舞い上がってんじゃねーよ」
人の変わりように戸惑い固まる。
「あ、このこと他の人に言ったらブッコロスから」
と言い屋上の扉から去っていく成瀬さん。
「はい、、、」
学校一の美女は最低な女子でした、、、 ー完ー
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