グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「シルビア、大丈夫? 」
 
 ジュリアルが声をかけると、スヤスヤと心地よい寝息が聞こえた。

 どうやら安心して、シルビアは眠ってしまったようだ。


 コンコン。


「姉さん、入ってもいい? 」

 心配して、マロンディスがやって来た。


「いいわよ」


 ドアを開けて入って来たマロンディスは、とてもすっきりした顔をしていた。


 その顔を見ると、ジュリアルはとても嬉しくなった。


「どうしたの? シルビア」

「安心して寝ちゃったみたい。疲れていたんじゃない? 随分と遠くから来てくれたみたいだから」

「そうだね」

「もうすぐお医者様も来るから、少し寝かせてあげるわね」

「じゃあ、俺が運ぶよ」


 ひょいと、マロンディスはシルビアを抱きかかえた。



 とりあえず、ジュリアルの寝室へとシルビアを運んだマロンディス。

 来た時より、とても安心した表情のシルビア。

「姉さん、ごめん・・・。俺が、しっかりしていなかったから。パティーナにもシルビアにも、辛い思いをさせてしまった。姉さんにも、随分迷惑かけてたよ」

「気にしなくていいの。こうやって会えたんじゃない。これからを大切にしなさい」

「うん・・・」


 
 しばらくして。

 国立病院から理事長のケインがやって来た。

 変わらぬ若々しいままのケイン。

 今は髪は伸ばして肩を超えるくらいの長さで、後ろでバレッタでまとめている。

「もう大丈夫ですよ。しばらくは、ゆっくり休ませてあげて下さい。疲れているようですから」

「判りました」

 傍にいたマロンディスがお礼を言うと、ケインはそっと微笑んだ。
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