グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~

 ギュッと抱きしめているマロンディスの腕に、力が入った。

「あの助けてもらった時、苦痛の中。まるで天使かと思ったくらいだったよ、寒いのにとっても薄着でびっくりしたけど。胸がキュンとなって、なんだか分かんないけど、やっと会えた捜していた人だって魂が喜んだんだ。だから・・・」

 ポタリ・・・ポタリ・・・

 抱きしめているマロンディスの手に、シルビアの涙が滴り落ちてきた。

 泣いていることを悟られないように、声を殺しているシルビアの姿がたまらなくなり、マロンディスはそっと頬を擦り合わせた。


「なんでお前が泣くんだよ。何も悪い事してないじゃん」

「・・・んて・・・私・・・なんて・・・」

 涙で声が詰まってしまい、シルビアは上手く言葉が言えなくなってしまった。

「ったく、お前は・・・」


 マロンディスはシルビアの手を引いて、傍にあるソファーに座らせた。

 
 声を殺して泣いていたシルビアだが、ヒクッ、ヒクッ、と少し呼吸困難気味になっていた。

「バカ、泣くなよ」

 そっとシルビアを抱き寄せると、マロンディスはそっと背中をさすった。

「お前も我慢していたんだな。もういい、泣きたいだけ泣け。俺の胸貸すから」

 よしよしと、優しく背中をさすってくれるマロンディスの手からは、とても穏やかな暖かいエネルギーが感じられる。

 そのエネルギーに、シルビアの気持ちも少しずつ落ち着いてきた。
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