グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
 しばらくすると、奥深い谷間にたどり着いた。

 霧が深く先が見えない。

 その中を通り抜け地の底向かってゆく・・・



 どのくらい深い場所へやって来ただろう。

 霧が晴れてくると、岩がゴテゴテしているのが見えてきた。

 静かで少し薄暗い場所。

 太陽がかなり遠くに見えるが、さっきまでの雪は想像できない程暖かい場所。

 道は補正されていて、道路になっている。

 車は通っておらず、馬車や恐竜に乗って移動している人が居る。

 建物はレンガや木造でできていて、二階建ての家や、広い長屋のような家がたくさんある。

 途中、オアシスのような水が溜まっている場所があったり、作物が育っている畑もあった。


 グリーンピアトの城下町ほど賑わってはいないが、商店街みたいな場所で、商人が作物などを売っていた。




 またしばらくすると、モダンな大きな建物が見えてきた。

 庭も広く、門には門番が立っている。


 
 マロンディスとシルビアを乗せた、羽の生えた恐竜はその建物の中に入って行った。


 広い庭で降りると、また頭をくるっと回して、ゆっくりとマロンディスを降ろしてくれる。


「ここは・・・どこなんだ? 」

 見たこともない場所に、マロンディスが驚いている。


「突然ごめんなさい。ここは地底です」

「地底? 」

「はい、死者の魂を弔う場所とも呼ばれています。地上の人は寄せ付けないように、深い霧で覆われているんです。今まで、侵入しようとした地上の人は、たどり着く前に亡くなっています」

「へぇ・・・。そんな場所があったんだ」


 2人が話していると、建物の中から女性が一人出てきた。

 綺麗な金色の髪が腰まで長く、スラッとした背の高い女性。
 
 艶やかな赤色のロングワンピースに、上品な白いショールを羽織って、靴は履いていない。

 シルビアと似た感じの女性である。

「どうしたんです? けが人? 」

 優しい声で尋ねられ、マロンディスはそっと頷いた。
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