グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~

 それからマロンディスは、ティミスからジャディスの容態を聞いた。

 一命はとりとめたと聞いてほっとしたが、パティーナの時と同じ甘い香水の匂いの事を聞いて、真っ先にディアンアを思い浮かべた。

 ディナンナのつけている香水は、独特の甘い匂いがいつもしていた。

 通るだけで、ディアンナが来たことが解るくらいだった。


「早くディアンナを見つけないと、次に誰が狙われるか分からないな・・・」

「ああ、検察も協力してくれている。見つかるのは、時間の問題だと思う」


 ティミスとマロンディスが話していると、ジックニーがマロンディスの袖を引っ張った。

「ん? どうしたんだ? ジックニー」

「・・・港。・・・」

「ん? 港? 」

「・・・南グリーンピアト行きの船、今日出るんじゃないの? 」

「今日? そう言えば、そうだな」

「早く行かないと、ディアンナが行っちゃうよ。南グリーンピアトに、逃げようとしているから」

 マロンディスはティミスと顔を見わせた。

「とりあえず検察局に連絡しよう」

 ティミスはそのまま電話をかけるため、去って行った。


「ジックニー。今の話しは本当か? 」

「うん。だって、ディアンナの逃げてゆく姿が見えたから」

「そうか」

「お父さん、ジャディスさんついていてあげてくれないかな? 」

「え? 」

「病院は警備が固いけど、もしかしたら、ディアンナが逃げてくるかもしれないから」

 さっきとは違い、とても真剣な顔のジックニーを見ると、マロンディスは逆らう気持ちに離れなかった。

「判った、じゃあ、お前はお母さんの所に戻るんだ。いいな? 」

「うん・・・」

 
 じっと、ジックニーはマロンディスを見つめた。
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