グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「地底に行くと言うことは、王位は継がないって事か? マロンディス」

「うん。・・・ごめん・・・」

「そうか。そうなると、お父さんが悲しむんじゃないのか? 」

「そうかもしれないけど。俺は、この国の国王には向いていないと思う」

「どうしてだ? お前は、正当な王家の血筋を引いているじゃないか」

「血筋・・・。俺は、それに縛られたくない。父さんが言ったように、自分がどうしたいかで決めたいんだ。だから、シルビアとジックニーと、一緒に地底に行く事を決めたよ」

 少し困った顔をして、ティミスはジュリアルを見た。

 ジュリアルも困った顔をしている。



「行かせてやれよ」

 ん? と、声がして見ると、そこにはアディールがいた。

「アディール。帰っていたの? 」

「ああ、もう随分前に帰ってたぜ。なぁ、ジックニー」

 声をかけられると、ジックニーはハッとした。

「なんだ? お前、ジックニーとはまだ会ったことなかったよな? 」

「ああ、今日初めて会ったぜ。すっげぇ可愛い子で、びっくりしたぜ! ちょっとしょげてたから、元気づけたんだ」

「まぁ、いつの間にそんな仲良くなっていたの? 」

「あ? 仲良くなるのに、時間は関係ねぇよ。俺とジックニーは、血が繋がってからよっ。会えて嬉しかったぜ」

 そうゆう事か。

 ティミスは納得して頷いた。

「でさぁ。話し聞こえたんだけど。兄貴の事、行かせてやった方がいいぜ。ここで引き止めたら、絶対に後悔するに決まってっからさぁ」

「でもね、アディール。病気のお爺ちゃんの事もあるのよ」

「ああ、それなら心配ないって」

「え? 」

 ニヤッと笑いを浮かべ、アディールはティミスに歩み寄ってきた。

「爺ちゃんなら、好きな人がいるから。2人で居たほうが、絶対幸せだって。父ちゃんと母ちゃんが行ったら、邪魔になるだけだって」







  
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