幸福論

〜崇裕〜

「.....っうぅ.......ありがとぉぉ」




言葉にならん感情が溢れる。


声を押し殺し
俺はハンドルに頭を押し付けた。


2年越しに伝えた想い。


そして2年越しに叶った想い。


ほんまにほんまに長かった。


思い出すのは楽しい事だけじゃない。
半年間しか君との思い出はないけど


それは始まりの合図やった。





ハンドルから顔を上げ
彼女に向き直る。


そっと手を包み目を合わせる。


少し赤い彼女の顔は
俺に移ってしまいそう。


そんな顔を見られたくなくて俺は手を離し


優しく優しく引き寄せた。







「ちょ、ちょっと待ってほしい........」

「あ、ごめん、嫌やった......?」






抱きしめようと開いた腕を戻す。



気持ちが通じ合ったはずやのに
お願いします、って言ったはずやのに


さっきまでの顔を赤らめた彼女はいなくて
少し何かに怯えてる。
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