恋は小説よりも奇なり

どの席にも人がいて、人がいなくてもその代わりに荷物や本が置いてあったりする。

「えーっと、席、席ーー…」

満は瓶底のようなメガネを押し上げながら空いている席を懸命に探す。

選びたい放題のいつもと違って、それだけで溜め息が出てしまう。


相席になるけど、いっか……


相席となる人が近くにいるかどうか多少気にしながら、荷物を椅子の上に置いて席を離れた。



“ねぇ、ゲールーー…

私はキミに出逢えて本当に幸せだった。

片手で収まってしまうほどの私の世界は、空気を吹き込まれた風船のように大きく大きく膨らんでいったんだ。

両手でも抱えきれなくなったこの気持ちは……少しはキミに届いたかな”

武長 奏 『ナイチンゲールの願い』より



満は小説家 武長 奏(たけなが そう)が手がける物語が大好きだ。

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