恋は小説よりも奇なり


秋らしいライトベージュのドレス。
上品なシフォン生地。
バルーンの裾が膝上でふわふわ踊る。

ガーデン風の小さな教会。
童話に出てくるような可愛らしい場所。

敷地内には新郎新婦の関係者たちが顔を揃えていた。皆幸せそうな顔をしている。

「満ちゃん、こっち」

大和が満に向かって手招きする。

満は大和の方へ歩みを進めた。

「今日も可愛いね。ヘアメイクは樹ちゃんかな?」
「はい。でも、こんな格好あまりしないのでやっぱり少し恥ずかしいです……」

大和の褒め言葉に満ははにかんでみせる。

「そういえば、空港での事はごめんね。俺の早とちりだったみたいで、あの後こっぴどく叱られたよ」

「いいえ。こちらこそ心配をかけてしまったようで……」

満は首を左右に振る。
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