大嫌いの裏側で恋をする

他愛もない最近のお互いの話をして、食べて、笑って。

デザートを食べ終えようって時に、悠介が窓の外の通行人を眺めながら言った。


「美波、ごめん。 俺好きな人ができた」
「……え?」

聞き返した私の顔を、視線を戻した悠介が見つめる。

――ああ、やっぱ。

ごめんって、そんな顔だったのか。今日の表情は。
妙に納得してしまう。

「別れて、ほしいんだ」
「……だから、わざわざ予約までしてくれたんだ?」
「ごめん」

大好きなチーズケーキ、最後の一口を押し込んでカチャン、とフォークを置いた。

「うん、わかった。 ……同じ会社の人?」

味なんて、わかんない。

「……うん、そうだよ」

そっか、と頷いて。
沈黙がなんか苦しい。

「帰ろっか」
立ち上がり会計札を持った私を悠介が制す。
だけど。

「彼氏以外に奢ってもらいたくないんだよね」

悠介は酷く悲しい顔をした。
なんでよ、フったのはそっちじゃん。
なんなの。
< 10 / 332 >

この作品をシェア

pagetop