大嫌いの裏側で恋をする


「……あ、わ、たたた高瀬さん!!! そうだ、高瀬さん!!」
「あ?」
「な、眺めすぎてすみません……!!」
「いや別に俺の方が先に起きてたし、眺めてたし」
「ぎゃ! なにそれ恥ずかしい!!」

急激に頭が目覚めてく。
昨日、初めて2人で出掛けて。 それでもって、何の奇跡か高瀬さんに好きだと言ってもらえて。
そのまま、夜、そんな感じで、あんな感じで。
うっすらとしてた記憶が色濃くよみがえり、体温を上げる。

聞いたこともない優しい声。
重なる肌の心地よさ。
何度も繰り返されたキスの感触は、やっぱりまだ慣れなくて。 だけど、このキスの感触が早く当たり前になっていくといいなとか。 年甲斐もなく乙女なことを思ったり。

「なーに、にやけてんだお前?」
「え!?」

意地悪な顔で私の顔を指でつつく。 見上げてるとさらにドキドキと心臓は高鳴る。
高望みしすぎた恋が受け止められて、どこかまだ夢のようで信じられない。
初めての恋じゃないのに。
初めて男の人を知ったわけでもないのに。
緊張してる自分が何だか恥ずかしい。
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