大嫌いの裏側で恋をする


多分私の頭の中がグルグルしてることなんてお見通しであろう奥田さんはニコニコと微笑みながら靴を脱ぐ。
私も、慌ててパンプスを脱いで座敷に上がった。

「焦らないで。知ってるのは岩本課長と俺、そっちは吉川さんと間宮さんだけ。安心していいよ」
「は、はい」

頷くと、背中に手を当てられる。
奥田さんは私が持っていた印象以上に友達思いな人なんだろうか?
喜ばれているというよりも、妙に手助けをされているような変な感じ。

「石川さんは高瀬の隣行く? 俺は間宮さんとこっち」
「ちょ、ちょっと〜! 腕掴まないでくれるぅ!?」

ああ、そうだ。間宮香織もいたんだった。

声を聞いて私の肩は更に重くなったように感じる。
その、間宮香織はどうやら高瀬さんの隣を陣取ろうとダッシュしかけたところを奥田さんに捕獲されたらしく。
可愛らしいブラウスの襟元を掴まれて、動きを封じられてる姿は……
何というか、あれだ。

通行人やら他の犬にとりあえず吠えまくっちゃう、散歩中の犬が飼い主さんに抱きかかえられ捕獲されてる図。
あれにそっくりで、可愛らしい。
もちろん小型犬ね。

「吉川さん今日は来れてないしね、間宮さんは任せておいて」
「……わ、わかりました」

不服そうな間宮香織を横目に、高瀬さんの隣に座る。
チラリと私を見て「悪いな」と言った。
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