大嫌いの裏側で恋をする

「ちょ、ちょっと間宮香織! 何もいっきに」
「っかー! やってらんない! 何なの!? 俊平くんそんなキャラだっけ!?」
「あ? なんだよ、俺かよ」
「ガハハ! だろ、美人ちゃん! 高瀬がなぁ、惚れ込むとこうなるんだってよぉ! 愉快愉快!」
「愉快じゃねーーよ!」

課長が楽しそうに会話に参戦してしまって。
高瀬さんも黙ってられず参戦して。

課長が頼んでいたのだろうか。
食事も運ばれてくる中で賑やかな声が続く。
とりあえずチビチビ飲んで食べてたら、斜め前に座る課長が「おう、石川!聞け!」と、名指しで言われたもんだから。
思わず姿勢を正す。
正してから、会社じゃないのに、と気付いたんだけど。

「何ですか、課長」
「おう、お前らなあ! いつまで経っても進展ねえから奥田と心配してやったら! 男がいる奴相手にどうしろって言うんだよ、とかなぁ、高瀬が言いやがって」
「は、はあ」

適当に相槌を打つと、次の声はまさかの奥田さん。
いや、奥田さんまで盛り上げないで!

「別れたって知ったら知ったで、どうすんのが正解だ? とか聞いてきたりね。何? お前童貞? って真顔で聞いちゃったよね」
「ど……、え? ど!?」

さわやかなマイナスイオンから!
まさかの、童貞発言!

「マジで黙ってくれ2人とも」
「あたしも聞きたくなぁ〜い!!」

私が驚きのあまり口を閉じられないでいると。
頭痛そうに、額を押さえた高瀬さんと。
耳を塞ぎながら叫ぶ間宮香織の声が響いた。

そんな流れでからかわれたり、飲んだり、食べたり。
そして間宮香織に絡まれたり。
あっという間に数時間が過ぎて、店から出ると奥田さんに声をかけられた。

< 184 / 332 >

この作品をシェア

pagetop