大嫌いの裏側で恋をする

***



「で、金曜日どうだった? ゆっくりできたの〜??」

お弁当を食べ終わった吉川さんが楽しそうに私の耳元に小声で問い掛ける。
いつもお昼を食べてるこの会議室は、いろんな課の人たちが利用してるから、3人用の長机が横3列、縦に多分8列。
そこに、ゆったりではあるが席が埋まる程度に人がいる。
その為、こんな感じのプライベートな話はコソコソとみんな耳打ちして話してるんだ。

「ああ、別れちゃいました」
「へ??」

そんな中、特に声を抑えずシレッと返した私の声は、会議室の空気中を嫌に響いてしまう。

「と、いうか、フラれちゃいましたね。 他に好きな人できたとかで」
「え!!??」

ガタッとパイプ椅子を倒しながら吉川さんが立ち上がる。

「石川ちゃんからフったんじゃなくて!?」

その物音に、まだ食事中だった数人の女子社員がこちらを見た為、吉川さんはコホン、と咳払いをした後小さな声で続けた。
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