大嫌いの裏側で恋をする

ぐぅ、と恥じらいもなくお腹が鳴った。
無理もないと思う。 夜の8時。
何してるのって、残業してる。
金曜日に、ひとり、残業してる。
事の発端は昼休みあけ。
系列代理店からの電話。
『納期、ミスってるよ石川ちゃん』
いつもはチャラけた物言いの代理店の課長なんだけど、かなりだいぶマジな声。

急いで高瀬さんに連絡を取り指示を仰ぐも、結局は開発部のある本社工場まで、走らせてしまうことになった。
かわりに私は過去のデータを見ながら、今頃高瀬さんがやってるはずだった、見積書をせっせと作ってるんだけど。

なんせ、進まない。

過去の見積もりデータと睨めっこして、顧客の規模と比較しながら数字を当てはめようにも。
……これ、完璧にセンスの問題。
吉川さんなんかは、よく担当の営業さんに頼まれて見積もり作ってあげたりしてるけど。
最終的にチェックして貰えるのだとしても進まない。
要は、ルーチン業務しかできない。
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