大嫌いの裏側で恋をする


***

「ごめんね、遅くなった!」

駅前の百貨店入り口に立つ悠介に手を振った。

「大丈夫だよ、急がせてごめん」

ふにゃっと笑う悠介は、大学の頃よりも髪が短くなって大人っぽくなった。
高瀬さんほどじゃないのかもしれないけど、背だって高くて、鼻筋も通って。
童顔だけど可愛い顔してると思う。

……って、ここで高瀬さんと比較してんのもおかしな話だけど。

悠介の会社とは一駅しか離れてないから、週末にはこうして待ち合わせて一緒に帰る。

「美波の好きなパスタの店あるでしょ、あそこ予約しといた」
「え! どうしたの、珍しい!」
「……うん、今日くらいは」

見せた笑顔が弱々しい。

疲れてる?
つまらない?
怒ってる?
眠い?

わからない、でも、いつもと違うことが多すぎる。
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