『未成年』なんていらない
救急隊員に運ばれていたのは、紛れもなくレムの親友、ひなりだった。

「…ひな………ちょ、ちょっと待って!」

レムは慌てて来た道を引き返した。
そして、担架に乗せられているひなりに駆け寄った。

「ひなり!ひなり起きてよ!ねえ!!ひなり!!!」

瞳に涙を浮かべながら叫ぶレムの両肩に、閨川の手が置かれた。
閨川は立ち止まり、レムの瞳を真っ直ぐに見つめた。

「大丈夫だ。必ず治るよ。」

優しく落ち着いた低い声でそう言い残し、閨川は再びひなりの元へ走った。
レムはどうすることもできず、戸惑いながら教室に向かった。
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