『未成年』なんていらない
「そんな…先生のせいじゃない!悪いのは…」

『荒野さんだよ』と言いかけて、ひなりは口を噤んだ。いじめられた事は親には隠し通したかったからだ。
しかし、今回の件でひなりがいじめを受けていたことは母に知られてしまっただろう。

「悪いのは暴力を振るった子…でしょ?分かってるわ。ひなりが好きな先生のこと、お母さん悪く思わないわよ?」

母は『教師として尊敬している好きな先生』というニュアンスで言ったのだろうが、ひなりの頬はかあっと赤くなった。

「ひなり、今日はもう学校行かなくていいから、家でゆっくりしなさい。」

母に優しく言われて、今日は家に帰ろうと一瞬思ったが、すぐにその考えは消えた。
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