陽空〜甘酸っぱい恋の欠片見つけました~
「さ、佐野くん!ありがと……」


佐野くんが行ったあと、二人きりで沈黙が続く…数分経って朔が沈黙を破った。


「あの、さ」


「何?」

「俺……より佐野の方がお前の気が楽か?」

思いがけない言葉に頭が真っ白になり私は何も言えなかった。続きを回ろうと言ってくれると期待して、朔と一緒にいられると思ってでもそんなことなんてなくて。

「お前……俺で苦労してんのは見ててわかる佐野と話してる時の方が楽しそうだった」


「なにそれ……」

「佐野の方がいいんじゃねぇか?」


好きな人にそう言われるほど苦しいものなんてない、なんでそういうの……簡単に言えるかな泣きたいのを我慢して


「……朔、簡単に言わないで。どんな気持ちで耐えてそれでも一緒にいるか。簡単にそんなこと言える朔だからわかんないよね。勝手に悩んで馬鹿みたい。私、もう帰るから」


最悪の文化祭。もう、無理。朔にあんなこと言われるくらいだったら1人でいればいいなんで朔は彼女だって私に言ったわけ…どうしてデートなんてしたの?彼女だと思ってくれるならそんなこと普通は言えない。それでもやっぱり幼馴染でしかないんだね。


「……振ればよかったかな」

「なんで出てくんだよお前は」

「佐野くん……」
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