夏のソラの雪
あれから後のことは、朧気にしか覚えてない。





しばらくそのまんまで空を見上げていた。




眠気なんかどっかいって、むしろ感情はソワソワと高ぶってる。





手のひらに残った真雪の肌の感触と、





唇の味。





あとは……去り際の顔。





すっげぇ哀しそうで、泣きそうな瞳してた。





セックスで女を悦ばせることはあるけど……、




哀しくさせたことは無い。




しかも未遂。





「はぁっ……」




こんな面倒事、その場限りの関係しか求めない俺にとっては鬱陶しいだけ。




でも、




このまんまで居るのも後味が悪い。




とにかく、




明日もう一回ここに来てみよう。




真雪に会って、真雪の顔見て……、




……何を言えばいいんだ?




……わからないけどとにかく、




真雪の顔見ないと気が済まない。




真雪の鼻の付け根をくしゅっとさせた笑顔。





あれを見れば、俺は安心出来るって思ってた。
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