夏のソラの雪
「うんっ。熱も下がったし、退屈してたくらいだよ」




ちょっと声を弾ませたのは、きっと俺に心配をかけない為。




また明日。




なんて続けて、




昨日のことも無かったみたいに普通に会えれば、



俺の悶々とした気持ちも晴れるのかもしれない。





でも、




見て見ぬ振りしたくない。




「なぁ」




昨日の俺が真雪を傷付けたことに変わりはない。




「なに?」




真雪がこうして俺の電話に出てくれている。




だったら、




「俺さ……」




昨日のこと、償う余地があるって思っても良いんだよな?





「愛与?」





受話器を握ったまま口を噤んで言葉を探す俺に、真雪が不思議そうに呼びかけた。




なんだよ……。



俺ってこんなに口下手だったのか?




見つからない言葉を探しても埒が明かない。





「……会いに行っていい?」





俺は俺のやり方で、傷付けた気持ちに償う。





喧騒とした昼休みの学校を、カバンを無造作に肩に掛けて後にした。
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