夏のソラの雪
「でも、なんとなくわかるよ」




ずっと俺から逸らしていた泰希の視線が動いた。




俺をしっかり見据えて、




「誰でも良いから抱いて欲しかったんだよ。……俺が真雪の気持ち裏切ってしまったから」




怖いくらいの無表情を浮かべて泰希は言い放った。




瞬間、




「ふざけんなっ!! 誰でも良いってなんだよっ!!」




背中にあった窓を、思い切り拳でどついてた。




やり場の無い苛立ちはそんなもんでおさまってはくれない。




自分の特別である真雪にとって、自分はただの選択肢の一つ。




そんなこと認めたくない。




自分の一番が真雪であるように、




真雪の一番も自分で……。




「おまえも一緒だろ?」



「はっ?」




睨み付けるように泰希を見る俺から、相変わらず目を逸らさない。




「カラダが繋がる相手なら誰でも良いんだろっ」




どうせ感情なんて要らないんだから。





反論する言葉が見つからない。




……情けない。




真雪は違うって言い切るには、





俺は真雪を知らなすぎた……。
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