冷徹騎士団長の淑女教育
だがハワードは、心の弱さの裏に強さも合わせ持っていた。

愛する女性と娘への想いをそのままに、国民のために全精力を注いでいた。

この国を、争いのない平和な国にしたいのだとハワードは常々言っていた。

ハワードの強さに惹かれたアイヴァンは、永遠の忠誠を彼に誓う。




転機が訪れたのは、アイヴァンとハワードが秘密の友達となってから六年が過ぎた頃のことだった。

日がな国政に奔走しながらも、陰で必死に失踪した娘の行方を追っていたハワードは、バロック王国の宰相宅に王女に似たような痣がある娘がいるという情報を入手する。

かねてからバロック王国は、ユーリス王国にことあるごとに襲撃をかけており、二国は完全に敵対していた。

戦争を好まない温厚な王は、そのとき初めてバロック王国との戦いを高らかに宣言した。

そしてついにバロック王国が陥落を迎えたあの日――アイヴァンは赤子の頃にさらわれた親友の娘を、宰相リーチェの邸で見つけたのである。

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