冷徹騎士団長の淑女教育
それから約一か月後、アイヴァンはクレアに小さな箱をくれた。

中には、左手の掌の付け根から手首までをすっぽりと覆える、特注のシルバーブレスレットが入っていた。

これを付けていれば、醜い痣が人目に晒されることはないだろう。

すずらんの花模様が彫り込まれたそのブレスレットは、留め具がついていて、クレアの手首にぴったりと装着できるようになっていた。成長に合わせて調整可能で、入らなくなる心配もズレる心配もない。



クレアが生まれて初めて貰ったそのプレゼントは、何物にも代えがたい宝物になった。

そしてクレアは、入浴時以外は家でも外でも欠かさずそのブレスレットを身に着けるようになったのである。
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