冷徹騎士団長の淑女教育
残されたクレアとアイヴァンの間に、気まずい空気が流れる。

アイヴァンの怒りは、おそらく今までの比ではないだろう。他人と深く関わらないという彼との約束を、こんなにも大々的に破ってしまったのだから。

案の定、振り返ったアイヴァンは、黒豹に似た眼差しで射抜くようにクレアを見る。

「……いつからだ?」

重く響く、アイヴァンの声。冷え切った声音に、クレアの背筋がぶるりと震える。

「いつから、彼とこうして会っていた?」

「二週間前ほど前からです……」




どうしたらよいか分からず、クレアは怯えるばかりだ。

「何を言われた?」

「……何も。エリックは友達になりたいと言ってくれて、いつも他愛のない話をしていただけです」

アイヴァンが、思案するようにまた沈黙した。

それから身をかがめ、座ったままのクレアと向かい合う形になる。

真っすぐにクレアを見つめる表情は、一寸の隙もないほどに真剣だった。

アイヴァンの気迫に気おされていると、今度は唸りにも似た低い声で、「……何をされた?」と問われた。
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