君等の遺した最後の手紙は。(仮)

正直、今も昔も私は「恋」だとか特別な「好き」に出会ったことが無い。
つまり俗に言う『初恋』がまだなのだ。

それなのに人と距離を置くことを決めたのだから到底好きな人なんてできるわけが無い。

ーー華穂は恋した事、あったのかな…。

15年という短い生涯を終えた華穂。そこには想像を絶する、他人よりずっと、濃密な人生が詰まっているのだろう。

以前、華穂に倣って後追い自殺してやろうかと思った時期もあったのだが、自分が今こんな気持ちなのに、自分が死ねば、また周りの友達や大切な人達に自分と同じような想いをさせるのと同じだと思って自殺はやめた。

昔から私は「人の気持ちがわかる子」だって言われてきた。
もしこの時自分だったらどうするかな、とかこうした方がいいのかなって思ったことを言っていたら、そう思われたらしい。

お姉ちゃんも基本そんな感じで、その上可愛いだからそりゃモテるし友達も多いわけだ。あぁ羨ましい。


「未侑には未侑なりの良いところがあるよ」
そうお姉ちゃんは言ってくれるけど、そんなことないと思う。私の良いとこなんて人によって伝わり方が違う。
そんなこと言ってくれるお姉ちゃんこそが良い人なのだ。

お姉ちゃんとは何があっても絶対に縁を切らない。
絶対に…。
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