君等の遺した最後の手紙は。(仮)
ーーだめだ。今はとりあえずその事は忘れよう。
せっかくの入学式。
長ったらしい来賓の挨拶なんぞに耳を傾けてみる。
・・・つまんない。
誰だか知らない芸能人の名言なんて言われたってなんの興味も関心も持てない。
多分あの来賓の鶴林(つるばやし)?とか言う人、自己啓発本が好きなんだろうな。石村詩月(いしむら しづき)とか知らないし。
まぁあと2、30分の辛抱だ。
それが終わったら教室に戻って自己紹介して帰宅。
帰る前に友達作りに精を出さなきゃ。
人間を信じないことは決めたけど、義務教育の9年間を経て、学校生活において人との関わりなしに生きていくことは不可能だ。だから、
『浅く広く付き合っていく』をモットーに生活していくつもり。
それからもう「大切な人」は作らない。
失ってあんなに傷つくなら…私はもう1人だったっていい。
それなりに楽しい生活が送れたら…
ただそれだけを願う。
そんなことを考えてるうちに新入生は拍手に包まれ退場していた。