約束～悲しみの先にある景色～
私の頭の中ではてなマークが飛び交っている間に、話は既に曲の振りの話に入ってしまった。


｢じゃあさ、ガクちゃんと同じタイミングでバク転してる人……、ガブのバク転を止めれば？｣


『えー、ガブバク転気に入ってたよ？自分の腹筋をprotectに見せれるとか何とか言って』


｢だから、そこがガクちゃんにしてみると問題なんだけどな…、｣



そこまで聞いて、私は自然体を意識しながら彼の肩から離れ、反対側のドアにもたれかかった。


きっと、この話は次回の新曲か何かのダンスの話だから、ずっと彼らの話を聞き続けていると色々な情報が分かってしまうかもしれないから。


アイドルの仕事は、私が思っていた以上に大変な様だ。


それに加えて、確かトユンさんとカイちゃんは同い年。


高校2年生のはずだ。


そんな2人が真剣にダンスやアクロバットの技について語り合えるのも凄いと思うし、会話が大人っぽくて、高校生の雰囲気を感じさせない。


私と約2才しか変わらないのに、こんなにも生きる世界が、見えているものが違うなんて。


(凄いな、………)


未だに続いているトユンさんの会話を子守歌に、私は肩の力を抜いた。
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