約束～悲しみの先にある景色～
ここ2,3日ちゃんとした睡眠を取っていなかったから、かなり頭がすっきりしている。


それに、お父さんの夢を見ずに寝れたなんて素晴らし過ぎて。


｢ありがとうございます｣


寝かせてもらった事に、思わずお礼を言ってしまった。


それでも、頭の何処かでは何となく分かっていた。


今日の夜から、私はまたお父さんの夢に苦しむ事が。


この嫌らしい夢を見るようになったのは、キムさんとお母さんの再婚の話が出てからだ。


だから、きっとこれからもしばらくはこの夢は続くはずだ。


(お母さん、キムさん、トユンさんに迷惑を掛けない様に……、夜はなるべく起きていよう)


体調が悪くなったって、頭が上手く働かなくたって、そんな事は関係ない。


私がそう決断を下した事など夢にも思っていないだろうトユンさんは、また笑って。


｢もう家に行こうか。オンマもアッパも居るはずだよ｣


ものの数秒で変装の確認を整えた彼は、車のドアを勢いよく開けた。




｢えっ………やば、｣


トユンさんに続く様にして車から降りた私は、目の前に広がるそれに言葉を失った。



｢ここのマンションに、俺達の家があるんだ｣
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