迷子のシンデレラ

「葉山、なんだ。
 智美ちゃんへのプレゼントか?」

「えぇ、まぁ」

 内村課長にからかわれて、曖昧な返事をする。

 今まで興味もなかった女性もののアクセサリーや小物に目が止まるようになった。

 今日も内村課長との外回りの途中、露店に置いてあった可愛らしいネックレスに惹かれた。

 しかし……。
 彼女はどんなものでも喜びそうだが、それなりにきちんとしたものを贈りたい。
 彼女が気後れしない程度にハイブランド過ぎず……。

 まさか自分がこんな気遣いをするだなんて思いもしなくて苦笑する。

 女性はとにかく高級で華やかなものさえ与えておけばよかった。
 そもそもねだられてもいないのにプレゼントを用意すること自体、したことがない。

 髪飾りもつけていなかった彼女が自分の贈ったシュシュをつけていた姿を見た瞬間、彼女を抱きしめてしまいたかった。
 実際、想いを抑えきれず帰り際に抱きしめてしまった。

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