Open the door -運命の彼は日本代表?-
さっきから口元を緩めて意地悪に笑っている瑛人さんに、口が開いて塞がらない私。
このなんとも言えない空気の2人の間を、マイペースに動いているのは、やっぱりハナエさんだ。
きっと、ハナエさんには瑛人さんの冗談が聞こえてなかったんだろう。
なにか思い出したように、「そうだ」と呟いて瑛人さんの手を引っ張って、先ほどまで乗っていた車に戻っていく。
「ねぇ、小林の奥様。この子、孫の瑛人です。サッカー選手なの」
我が道を爆走状態のハナエさんは、後部座席に同乗していた小林さんに話しかけたのだ。
「まぁ、お顔立ちが良くって芸能人みたいね」
後部座席の窓を開けた小林さんの奥様が少女みたいに黄色い声をあげる。