Open the door -運命の彼は日本代表?-
玄関のドアを開けて外に出ようとしたら、まるでバケツひっくり返したみたいな雨が降っていた。
呆然と立ち尽くしたのは言うまでもなくて。
はぁぁ、どうしてこんなについてないんだろう。
さっきまでの走れば大丈夫のレベルではない雨に私は、ただただ空を仰いでしまう。
そんな私の横で、瑛人さんがおもむろに傘を開いて隣に入るように視線を送った。
「ほら、行くぞ」
「いえ、傘をお貸しいただければ、私一人で……」
『帰れます』という言葉は、瑛人さんに遮られた。
「いいから。俺と話さないことあるんじゃないのか?」
要はつべこべ言うなということなんだろう。
もう、相澤瑛人は、軽い男に加えて、どうやら私を振り回すのが得意らしい。
悔しいけれど、からかわれてる感は否めないし。
実際、瑛人さんと話さないといけないことだってある。
私と瑛人さんが付き合うってことだ。
こういう時は、仕方ないよね。
私は、彼が広げた傘の左隣に渋々収まることにした。