Open the door -運命の彼は日本代表?-
「せめてタオルでも渡そうと思って玄関出た時には、みなみはもう家を車で出るところだったから渡せなかったんだけどな」

瑛人さんの声は暖かに私の心に流れ込んでくる。

「ばあちゃんはもちろん、母さんや姉ちゃんまで『みなみちゃん』と付き合いなさいって、ごり押しするから、みなみがどんな女の子なんだろうなってずっと気になってた」

ハナエさん、私だけじゃなくって瑛人さんにも同じようなこと言っていたなんて。

「台風の日、ばあちゃんを送ってくれた女の子がみなみだって知った時、この子がいいって思った」

うるさいくらいに聞こえていた雨の音が、一瞬聞こえなくなったと思える。

「昨日だってそうだ。俺の存在に動揺して、浮かれているのかって思ったら、急に落ち着き払ってばあちゃんのこと心配してる。それが仕事だって言われたらそれまでだけど、他人にそこまで優しく出来るみなみを、俺は素直にすごいって思う」

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