私の中にキミがいる限り
しばらく後を追いかけていたあたしだけど、途中で立ちどまった。


2人があまりにも仲良く歩いているのでなんだか追いかける気がしなくなってしまったのだ。


明人君と透の今の関係は悪くないみたいだ。


「でも、真犯人はわからないままだし……」


あたしは立ち止まってそう呟いた。


明人君だって、自分をイジメていた犯人がわかっていればそれをあたしに教えてくれているはずだ。


それをしないということは、犯人がわかっていないからなんだろう。


もしくは、別に理由があるのかもしれない。


「美紗っち?」


そんな声がして我に帰ると、前方からミッキーが走って来るのが見えた。


手にはいつもの買い物袋を提げている。


「ミッキー!」


あたしは思わず笑顔になって手を振った。


「美紗っち、今学校帰り?」


「そうだよ。ミッキーは買い物帰り?」


「そうだよ」


ミッキーは柔らかな笑顔を浮かべて頷いた。
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