キミガ ウソヲ ツイタ
もちろん俺は浮気なんてしていないから、別れる理由が腑に落ちなかったし、他の女の子に優しくすることの何がいけないのかをまったく理解できなかった。

それでももう付き合えないと相手が言うのだから、『だったらしょうがないね。友達に戻ろうか』と言ってあっさりと別れた。

その後もなぜか誰と付き合っても長続きはせず、いつも同じ理由で彼女から別れを告げられた。

学生時代は告白されて付き合って欲しいと言われて付き合い始め、数か月付き合って別れ、少し経つと新しい彼女ができて、しばらくすると別れて、また彼女ができて……というサイクルを続けていた。

そんなことに慣れてくると、今は好きだと言っていても、きっと些細な理由で離れていくのだろうと思うと誰にも心を開けなかったから、相手のことを深く知ろうともせず、ただ優しい彼氏のふりだけがうまくなって、彼女にフラれても笑って見送ることができるようになった。

母が俺を捨ててまで手に入れたかった恋とか愛とかいうものは、こんなに薄っぺらくて虚しいものだったんだろうか。

一体どれだけ優しくすれば、俺のことをずっと変わらず好きでいてくれるのか。

本気で誰も好きになったことのない俺には、大学を卒業する頃になってもその答えは見つけられなかった。

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