かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
これで、颯志くんを誘惑するんだ……。

考えただけで緊張して、ドキドキと鼓動が速くなってしまう。

男性を誘惑するだなんて、そんなこと私に出来るのだろうか……自分でも半信半疑だけれど、やるしかない。

鏡の前で今日のファッションを入念にチェックしていると、テーブルの上のスマホがブッと短く音を立てて震えた。

颯志くんの車が家の前に辿り着いた合図だ。

私は、黒地に淡い色合いの花柄がプリントされた大人っぽいワンピースの上に、柔らかな白いカーディガンを重ねて家を出た。

もちろん、首元には彼がくれたネックレスが輝いている。

「会うたびに綺麗になっていくな、瑠莉は」

玄関の脇に車を停め、運転席を降りて待っていてくれた颯志くんは、私の全身をするりと眺めた後、優しく笑った。
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