Typhoon Of Love
⑯ (叶美サイド)
--*--*--*--*--*--

大きな木の下まで来ると、龍人は手提げから箱を取り出した。



「開けてごらん?」



私はそっと箱を開けると、そこにはサイズが違うだけのシンプルな指輪が2つ入っていた。



「…これ?!」



「僕らが恋人同士であることの証明」



「…えっ」



「あ、あと、これを僕に返そうとしても無駄ですよ。これを受け取った時点で、もう、あなたは僕のものだ」



「…わかった。大事にする」



そう私が言うと、龍人は笑顔でガッツポーズをしてみせた。

もう私の中からそんな笑顔は消えないはずだ。


そして私は、吉井くんより独占欲が強いらしい。



もうこの笑顔は私のもの。

―誰にも渡さない。

< 74 / 107 >

この作品をシェア

pagetop