Beast Love
汗を拭うために肩にかけていたタオル越しにポンッと手を置かれ、そんな嫌味をやんわりと微笑みでかわす。


『はい、ありがとうございます』


彼が指示を出す前にコート内で動き回る俺の姿は、面白くなかったのだろう。


湯沢コーチはことあるごとに、絡んできた。


『お前、調子乗りすぎなんだよ。周りの奴らもよく見てやってから速攻かけろや』


周りを見ていないのはどっちだよ、っと突っ込みながら反論する。


『あそこで俺が動きださなければ、逆に流れは相手チームにいって、失点していましたよ』


『……チッ、』


多分、コーチが敵意を向けてくるのは、数日前に行った彼が率いるレギュラーチームVS俺の率いる二軍チームのミニゲームで、有利なメンバーにも関わらず彼をコテンパンに負かしたことも関係しているのだろう。


レギュラー争いでコートの中で戦う分には受けて立つが、コートの外で争う気なんて俺にはサラサラ無かった。


例え相手にどんなに苛立ちを覚えようが、馬鹿にされようが。


外では自分が笑って過ごしていれば、良いと。



…………あの日までは、そう思っていた。……ーー



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