Beast Love
(よーし、ノッてやろうじゃんその挑発。……ぎゃふんと言わせてやるんだ、このスカシ顔に)


その時、私の負けず嫌いな性格に、火がついた。


ふんっと頭一つ分後ろに下がり、マサトの手の平から逃れる。


次に気合いを入れて、パンフレットを顔の前に広げて見せた。


「ここ、行きたい。この、”祭りと音と黄色”がテーマの、『シトリンゾーン』。見てみて、このシトリンゾーンにはイメージキャラクターのひよこの”ハッピーちゃん”がいて、会えたら幸せになれるらしいよ。そして極めつけは、」


パンフレットにデカデカと書かれた文字を、復唱する。


「シトリンゾーンは、お子様に 大 人 気 」



うぐっ、とマサトが呻き声を上げた。


「さぁ、ご主人様。参りましょうぞ。いざ、お子様に大人気の、シトリンゾーンへ!」


「いいぜ、行ってやるよポチ公」


私とマサトの、謎の張り合いが幕を開けた。
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