Liebe
第二十五話「思い出」


エリーはアンナとお茶をしていた。
先程まで、二人で買い物をしていたのだ。

目の前にはケーキとカフェオレ。
リヒトはエリーのケーキをご機嫌で頬張っている。

ちなみに、リザのお店ではない。

「あら、それでこの指輪をもらったの?」

「はい」

「やるわねぇ、お兄ちゃん」

アンナは豪快に笑って、そして指輪を手に持ちじっくりと眺める。
ウィリアムにもらった指輪を、アンナに見せているのだ。

「これ……」

「宝石、ですか? 私の瞳の色と、同じみたいなんです」

嬉しそうに微笑んで言うエリー。
アンナは驚いたように蜂蜜色の宝石を凝視する。

「ウィルも気の利く男になったのねぇ」

楽しそうに言って、アンナは微笑む。

「エリーは水色が好きなのにね」

「はい?」

「ううん。これって、なんでネックレスにしてるの? 指輪じゃダメなの?」

「私にもよくわからないんですが……」

エリーは不安そうに瞳を揺らしながら、アンナの手にある指輪を見つめる。

「……指輪じゃなくてよかったような気がするんです」

「へぇー……?」

よくわかっていないような顔でアンナが返す。
エリーが目を伏せると、リヒトはアンナの持っている指輪に向かって突進した。

「あっ」

アンナが思わず声を上げる。
指輪がぽろっとテーブルの上に転がり落ちたのだ。
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