Liebe
第三十二話「船」



水の都、トレーネから風の都へ帰ることに。
行く時は列車だったが、帰りは船でも乗ろうという話になった。

「列車でも船でも、水の都の外観の美しさは変わらないからね」

そう言ってダニエルは微笑む。
エリーもまた、船からの景色を見てみたいと思った。

「私たちは列車でしか帰れませんので」

「船を泊める場所がないからな」

「またな!」

そう言ってリートとシャール、そしてカイも去っていく。

「また来てね。エリー」

「はい。ありがとうございました、ビアンカさん」

「ええ。あんたは人魚じゃなかったけど、もうあたし達の仲間みたいなもんだから」

そう言ってビアンカが艶やかに微笑む。
エリーは嬉しそうな笑みを返した。

「ありがとうございます。また来ます!」

そう言って、エリーは荷物を持って船に乗り込む。

ウィリアム達も船に乗る。
船から見える景色は、一体どのようなものなのだろう。

まだ出発までに時間がある。
エリーは胸を高鳴らせながら、甲板から海の奥を見た。
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