Liebe
第三十六話「風光る」



寒さが和らぎ、温かい日差しが顔を出すようになった頃。
エリーはアンナとお茶の約束をしていた。

水色のワンピースを着て、エリーはキッチンへ向かう。
コーヒーを飲むウィリアムに声を掛け、そして玄関を出ていった。

ポケットには当然、リヒトが潜んでいる。
最近は飛び回るよりポケットでじっとしている方が好きなようだ。

お菓子もたくさん食べていることもあり、このままではリヒトはぶくぶくと太ってしまうのではないかとエリーは心配している。

そんな心配も知らず、リヒトは大きくあくびをしながら、エリーのポケットでくつろいでいる。


いつもの喫茶店へ向かうと、そこには既にアンナの姿があった。
テーブルの上には手紙のようなものがいくつか広げられている。

少し不思議そうにしながら、エリーはアンナの前に座った。
< 239 / 305 >

この作品をシェア

pagetop