ピーターパンに恋をして~親友の弟(大学生)と再開しまして~
「ぴ、い、た、ぱ、ん」
「ダイくん、カタカナ読めるの?」
今度、学芸会でやるシナリオをユミがランドセルから取り出せば、指を指しながらゆっくりとタイトルを読み出したから驚いた。
「凄ーい!ダイくんもう文字読めるんだね!」
「うん、読めるよー!」
「ねぇ、これは何?」
「ね、ば、ら、ん、ど」
「うわー!ユミ!凄いよー!」
「そうなんだよ、最近読めるようになってきたから、調子にのって凄いよー」
なんて、文句いいながらもユミは嬉しそうに笑っていたのをよく覚えている。
歩けるようになった時の事は記憶にないのだけど。
言葉を喋れるようになったのも、文字を読めるようになったのも結構鮮明に思い出せる。
ユミにも内緒でダイに近付いたのは、その時期だった──。