恋は、秘密主義につき。
『僕の美玲が最良のパートナーと出逢って、新しい家族を作る。それを最期まで見届けるのが僕の幸せでもあるんだよ。鳴宮君を選ばなかったとしても、誰にも責めさせたりはしない。近い将来、本当に好きになった人を僕に紹介してくれる日を心待ちにしているからね』

耳許に届く、柔らかな響き。
愁兄さまの深い愛情が胸を締め付ける。
想いの籠った言葉が。痛くて、痛くて。
苦しくて、心臓が今にも捩じ切れそうなくらい・・・!

ああ。・・・これが秘密の代償。
ごめんなさい。・・・黙っていて、本当にごめんなさい。
偽りを知ったら兄さまがどんなに悲しむか、誰より分かっているのに・・・っ。

鼻の奥がツンとなって、涙がひとすじ頬を伝い落ちた。
これは、絶対に忘れてはいけない戒め。・・・覚悟。

指で跡を拭い、懸命に微笑みを開かせて答えました。傷みを刻みつけながら。



「・・・そうできる日が来るのを、私も心から祈ってます。愁兄さま」


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