恋は、秘密主義につき。
車内アナウンスが私の駅の到着を告げ、征士君も一緒にホームに降り立った。
リサーチしてあったのか迷わずに駅前の珈琲ショップへと促され、カップ入りの飲み物を前に端の方のテーブル席に落ち着く。

征士君はアイスコーヒー、私はアイスオレで喉を潤し、ややあって彼が話を切り出す。

「レイちゃんは、オレが出向してくることはいつ知ったの?」

「先週の金曜日にたぁ君が教えてくれました」

「・・・そっか」

何かを考え込むように少し黙り込んだあと、思い切ったように続けた。

「本当は、俺は今回のプロジェクトのメンバーには選ばれてなかったんだ」

「え・・・?」

意味を掴みかねて、征士君を見返す視線が固まる。

「出向するのは先輩だった。でもどうしても抱えてる案件の調整がつかなくて、俺から上司にねじ込んだんだよ。俺を行かせてほしいって。レイちゃんに自分を知ってもらう絶好のチャンスを逃したくなかったから」

目の前の征士君はただ静かに、私を見つめていました。
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